File#04 ふくだのりゆき 

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アニメーター組織のゆくえ・・?

JAniCAアニメーター演出家協会(※以下、ジャニカ)は元々どのような目的で結成された組織だったんでしょう?

F)芦田豊雄さん(故)達とKさんというベテランのアニメーターを囲む会というのがあって、当時Kさん50代後半だった頃でしたが、アニメ界の大スター、アニメ界に多大な貢献をした方なのに、最近は「収入がない・・」とかで冷や飯食ってるっていう、“生活保護”を受けるような状態で、「これではいかん!!」と。
何かそういう、アニメーターが困窮している状況を改善する団体を作れたら、というのが発端でした。まあ、新人も食えないし、活躍されたベテランでも老後は安泰じゃないし・・
要するに第一の目的はアニメーターの「地位向上」と「報酬アップ」
そして芦田さん達数名で団体を立ち上げようって流れになったそうです。僕は初めから参加していたわけではなくて、当初から協会を立ち上げようと活動されてた神村幸子さんと知り合いになり、何かお手伝いをしますって感じで・・いよいよ形になるという際には発起人の中でも中心になっていた人、世話人6人を初代理事に起用し、その理事会メンバーに入っていました。

発足当初は主にどんな活動をされていたんですか?

F)よく、労働組合か?と言われるんだけど、組合ではないんです・・。なので団体的な活動「パース講座」とか「絵コンテ講座」以外は特にこれといった活動していませんでした 。発足したばかりの時は記者会見も開いて世間に知ってもらおうとしてたんですが、多くの著名・有力なアニメーター、演出家が集まっているので、業界の問題点を洗い出し自分たちの手で「モデルケース」を作ろうとしました。1本モデルとなる作品を作ってそれに見合った「単価」をアピールしようとか‥そんなアイデアはあったんですがね。実際には着手できず、少しずつ活動も停滞していきそうになっていきました。そういった矢先に、あの文化庁の育成事業が絡んできたんで、後々の「ジャニカ騒動」問題に至ったという・・

ふくださんも今は脱会されていますが、多くのメンバーが離脱したのはどんな経緯で・・?

F)その公共事業のマネージャーとして参加された弁護士の方ははじめこそ「アニメが好きだからボランティアで構わないからお手伝いしたい。」という態度で入ってきました。後にその言葉は見事ひっくり返るんですが・・(苦笑)
事業三年目、事業の請負先が日本動画協会になった頃 、ジャニカ内部分裂を誘導された形跡(怪文書)もあったし、一部のアニメーターが初志を覆すような選択もしたのです。とても残念なことですが・・今となっては上手く騙してくれて、それでもアニメ業界をより良く導いてくれるんだったら、「それでもいいか」という一種のあきらめのような気持ちもありますが・・・現状どうなんでしょう(笑)

もし「ジャニカ騒動」当時に戻れたら何か打つ手立てはあったでしょうか?

F)当時のことを思い起こすと今でも腹立たしいのですが・・少なくとも会員内には正確な情報が行き届いていませんでした。
せっかくの国からの援助、文化庁支援の事業に対して理事の一人が邪魔立てを企て、失脚したんだろう?・・という誤解を意図的に広められた件、情報操作がありました。
しかし、アニメーター同志でなぜそこまで勘違いが浸透してしまったのか、それは大勢の人が「今のアニメ界を何とかするのは国からの支援(お金)しかない」と妄信した結果なのでしょう。

当時のアニメーター仲間に改めて伝えたいことはありますか?

F)僕にとっては、文化庁の役員から言われた言葉「事業中止などがあればアニメ業界に二度と支援はない」が屈辱で・・・。もちろんこれだけではありませんが、文化庁というのは日本の文化を守るために作られた機関なのだと思います。当然ながら、文化(担い手)は「主」、文化庁(行政)は「従」であると・・なのに「主」である日本のアニメーション文化に対し、「支援してやってるんだ」という態度 ですよ!?
こんなものに頼らなければやっていけないとアニメ業界の皆さんは思っているのでしょうか?
・・でも、そこまで言われた当時の代表理事の芦田さんはそれ以後「中止」という選択肢を封印しました。国からの支援を自分個人の一存で断ち切るわけにはいかない、アニメーターのこれから、業界のこれからを思う気持ちがあって、自ら理事長を辞任するという、すすめにのったんだと思います。さぞ辛く悲しく腹立たしかったことだろう・・と心中を察すると胸が苦しくなります。

ジャニカ前代表理事のインタビュー記事[※2]を拝見しましたが、ほんとに無念でお辛かったことと思います・・。
ふくださんはその後、退会されましたが、新アニメ人育成オリエンテーション等を個人的な活動として継続されているのですね?

F)ええ、何故このような会を開催しようと思ったのか、理由は二つで・・。
一つは11年ほど前、面倒を見た新人動画マンがあまりにも予備知識がなかったという事。僕の価値観では「アニメーション科」出身であれば最低「タイムシートの読み書き」の基本が出来ていなければ問題があると思います。あくまでも基本で難しい応用など解らなくていい、というか各社、応用のところまで行くと教え方や作法がまちまちで業界に入る前にそこまで教わってしまうと、逆に問題が生じます。なので、この会では本当の基礎の基礎部分、業界共通の用語のみの説明になりますけど・・
あと、もう一つの理由は「親睦会的要素」です。ここで知り合った新人達がお互いの動向を気にしあい、または情報交換しあう事で技術が向上し、広く業界を見渡せるようになる事でより良いアニメーターになるための手助けになればと思っています。 簡単に言ってしまえば「目標を同じする仲間は多い方が良い」という事ですね。アニメーターの方々で「若い子たちにこの技術を伝えたい、でもその場がない」とお嘆きの方もいられるでしょう・・出来るんです、教える気持ちがあれば独りでも伝える事は出来るんです。
もしそういう思いがあり実現に手を拱いている方がいらしたら、この私でよかったらお力をお貸ししますのでお気軽に声をお掛け下さい。

なるほど。アニメーター同志の活動の輪が広がれば嬉しいです!
いろいろとアニメ業界の踏み込んだお話しをしていただいてありがとうございました。

[ふくだのりゆき 第一原画集 2018夏]より

[※2]参考記事
■JAniCA前代表理事、芦田豊雄氏に聞く、退任の真相
http://www.oh-pro.co.jp/images/pdf/FILM-J001.pdf

■ JAniCA前副代表理事宇田川一彦氏に聞く、組織の変容
http://www.oh-pro.co.jp/images/pdf/FILM-J002.pdf