File#02 吉田忠勝 

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おかげさまで、まだ描けるってことはありがたいな・・

(アニメーターを)長年継続されるってなかなか大変だと思うのですが、今も現役でこの仕事を続けていらっしゃるということについては?

Y) うん・・よくね、振り返って思うのは、こんなめんどくさいことを仕事にしたな、って。よくまあ、こんなめんどくさいことをやったな、っていうのを思います。そして・・それを持続して継続していることは、ある意味「偉いな~」と(笑)もう、ちょっとね・・「降参~~っ」てなりそうなんですけど、おかげさまで、まだ描けるってことはありがたいな・・って。

もし昔、過去に戻れるとしたら、どんな作品をやっている頃がいいですか?

Y) う~ん、『ナウシカ』もそうなんですけど、その前にね『ラストユニコーン』や『ホビットの冒険』などの作品があるんですよ。それに、『幽遊白書』という劇場作品でも、力が入っていて、自分の中では今でも心に残る名作なんですよ・・勢いに乗っている時代ですね。

雨風や荒波の動き、炎、建物崩壊など・・難しい作画の資料として残されていますが、これらは今でも作画の参考にされることはありますか?

Y) そうですね・・参考に見るんですが、同じようにはできないですね。
そうやって丁寧に描く時間も限られてきますので、どうしてもラフになるというか・・そんな感じかな。それに最近は『パズドラ』とかでもエフェクト作画はあまりやってないんですよ。だから、逆に“今風”のはわからなくて、最近の仕事は主に人物キャラを描いています。

昔と今では、、制作の体制も変わってきているでしょうけど、最近のやり方とかで憤りを感じることなど、ありますでしょうか?

Y) いや、憤りまではいかないね・・若かったら、そんなのもあるかもしれないけど・・まあ、こうやって絵を描かせてもらえるだけでもありがたいな・・って思っています

現場にいて、若手や新人の方へ指導することはありますか?

Y) いや、ないんですよ。現場での交流があまりなくて、最近は個々それそれにスマホ?やパソコンを使っていろいろ研究しているようですし、それに・・手取り足取り教えるものでもないんですよ。 今の若い世代の人、えらく速く描きますね。自分なんかの感覚で見るとですが、仕事がとても速いしね・・上手いですよ。 あと、このくらいの年齢になると・・実は話しかけてくる人もほとんどいないっていうか(笑) 例えば「元気ですか?」っていう普通の日常会話も最近ないです。同じ部屋にいても、個々違う作品をやっていますので、どうしても交流がなくなりますね。

仕事以外でもご自分でイラストとか絵を描かれますか?

Y) ええ、それは今でも続けてスケッチや模写を描いてますよ。雑誌の表紙絵だったり、仏像の写真を見て模写をしたり・・それから、仕事始める前には自分の手をみてスケッチするとかね。
右手と左手を交互に・・右手を普段効き手でないほうの左手で描いてみたら、どんな感じかな?ていうのも、やってみると悪くないんですよ。絵的にね・・面白い味になって。

では、吉田さんは仕事のモチベーションを保つ秘訣とか、ありますか?

Y) うん・・そうね、普段実は・・今も足がね、痛くて。
ずきずき痺れてて、そういうの抱えながら仕事をしているので、どうしても屋内にこもりがちなんだけど、それでも外に行って、運動のためには。それにね、お昼食べにいって、その店の人と会話ができるから。世間話なんかして・・それは気分転換になりますね。まあ、歳とってから食事は気をつけてますよ。白いご飯、味噌汁、焼き魚や煮物とか・・今流行りのサバ缶とか意識的に食べて・・(笑)すっかり健康志向になりました。

仕事で悩んだ経験やスランプはありましたか?

Y) ええ、苦労もスランプもいっぱいありました。
でも、若い頃はガムシャラに描いて描きまくってきたと思います。そうやってスランプは乗り越えてきたけど・・この歳になってからは、思うようには描けなくなり、そこがネックですね・・。

アニメーターとして、大切にしていることってなんですか?

Y) 大切なことは、派手なことはないけど・・とにかくコツコツとやる。
「続ける」ってことですね。あと、アニメの仕事以外にもスケッチとか絵を描いて、根気がなくならないように・・気をつけることかな。それは、アニメーターを志す人に伝えたいことでもあります。

なるほど・・それでは、最後にこれからチャレンジしたいことは?

Y) 魅力的なラフの絵を描きたいです。

~ありがとうございました。おつかれさまでした!